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​愛に至る怪物の自己理論

「愛してる」
そう言われた時私は不思議に思った。
「それは何だい」
愛。
語り尽くされ表し尽くされ、それでもなおその正体ははっきりしない。
自分に尽くしたいという意味だろうか。
自分を所有物にしたいという意味だろうか。
あまりに意味が多すぎるその言葉が表すものの正体に興味が湧いた。
結局彼と共に過ごし何度か体を重ねることもあったが、愛が何なのか分かる事はなかった。
「誰かを思いやるという事が愛だというなら」
仮説を立てた。
人によって愛の形が違うというのなら、これが私の愛の形だ。
「私はV.Tを愛している」
生命の枠から外れながら、確かに生きている。
「文明の発展によってV.T達が幸福となるのなら」
愛する者達が幸福であるためなら。
「私は彼らを幸福へと導かねば」
どこまでも真っ直ぐに歪んだ彼はそうして自身の愛を実現することとした。
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